持続可能で包括的な移住ガバナンスの共創:東南アジア・東アジアにおけるマルチステークホルダー協働からの教訓
アジアを含む世界各地では、外国人労働者などに関わる移住ガバナンスにおける人権課題について、政府や企業が適切に対応することへの期待が急速に高まっています。ビジネスと人権に関する国際的な枠組みの進展を受け、各国では移住労働制度の強化や新たなデューデリジェンスの導入が進んでいます。欧米をはじめとする主要市場での規制強化も相まって、企業には一層の透明性、責任ある事業活動、そして権利主体や影響を受けるコミュニティとの実質的かつ有意義なエンゲージメントが求められています。国際移住が多くの国で重要かつ複雑な政治テーマの一つとなる中、政府には効率性だけでなく、国際基準に整合した制度設計が期待されています。
日本も重要な転換期を迎えています。現行の外国人技能実習制度から新たな育成就労制度への移行、ビジネスと人権に関する行動計画の改定と実施が進むほか、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」のもとで、さまざまな具体的施策が検討されています。日本と東南アジア諸国との間での経済・外交関係が深化すると同時に、国内では人材不足の深刻な業界を中心に、同地域からの移住労働者への依存が高まっています。ASEANにおける枠組みや制度整備の進展は、日本の制度改革や政策実施に対して重要な示唆と影響を与えます。
2018年、笹川平和財団はインドネシアの Human Rights Working Groupとのパートナーシップを開始し、移住労働者の送出国・受入国双方の政策議論や、ASEANなどの地域的・国際的な枠組みの検討に、市民社会の立場から移住当事者やそのコミュニティ、市民社会の経験と知見を反映させるため、地域横断的なネットワークの構築と協働に取り組んできました。この協働から、東南アジア・東アジアにおいて国境を超えたマルチステークホルダーの連携を推進するプラットフォームとしてBEBESEA(Better Engagement Between East and Southeast Asia)が生まれました。
本シンポジウムは、ASEAN地域や日本における昨今の政策議論や進展について理解を深めるとともに、市民社会、当事者コミュニティ、支援者、実務・研究の専門家が協働して政策立案への働きかけや啓発活動に取り組んできたBEBESEAの経験から得られた教訓を共有することを目的としています。地域の専門家や実務者を招き、現場の経験に根ざした効果的で持続可能な移民ガバナンスの実現に向けたマルチステークホルダー協働について議論します。ぜひご参加ください。