テクノロジー企業とのエンゲージメントに関するグローバル・サウスの視点
情報通信技術(ICT)企業は、私たちの生活の個人的、職業的、社会的、政治的側面において大きなな影響を及ぼしています。生産性の向上、情報へのアクセス、効率化は、どれも拡大するICTセクターの特徴です。その一方で、ヘイトスピーチの無秩序な拡散、誤報、侵入的な監視、操作的アルゴリズム、差別的な人工知能(AI)、二酸化炭素排出量の増加や電子廃棄物の投棄という形での環境破壊など、製品・サービスが与える悪影響も多数指摘されています。このような背景から、企業の説明責任と透明性を求める市民社会の役割は、極めて重要であると同時に、比例なき挑戦であり続けています。
近年、市民社会組織や人権擁護者(HRDs)は、ユーザーの権利が確実に保護されるようICT企業の関与を要求してきました。彼らの経験から、こうした努力にもかかわらず、テクノロジー企業は説明責任を果たすための隔たりがあり、その溝を埋めなければならないことは明白です。この問題は、権威主義的な政権が法の支配を弱め、企業を裁くための規制やメカニズムが存在しなかったり、あるいは過剰で非効率的であるケースが多い「グローバル・サウス」諸国で特に懸念されます。HRDsの報告によって、グローバル・サウスで企業の責任追及に取り組むデジタル権団体が直面する課題は、デジタル権問題の性質や深刻さとともに、これらの企業の多くが拠点を置く欧州や米国のカウンターパートとは事情が異なることが指摘されています。
この分析は、技術部門の説明責任を求める市民社会グループからの以下3つの具体的な事例について考察しており、グローバル・サウスの市民社会グループとデジタル権利擁護者との協議とインタビューに基づいています。
- ミャンマー:13のデジタル著作権団体がロヒンギャ虐殺に関連するフェイスブックのコンテンツへの対処をメタ社に要求
- チリ:Derechos Digitales、通信事業者におけるデータ保護の実践を分析
- アフリカ:「デジタル・ライツ・アンド・インクルージョン・フォーラム」にて、アフリカのデジタル政策に関する地域横断的な議論を展開
これらの事例では、11カ国で1年間かけて行われた活動家や事務員へのインタビューから得た考察と併せて、現在使用されているツールや戦略について詳しく紹介しています。また、これらの事例から学んだ教訓をもとに、権利侵害に対する説明責任を果たす取り組みを強化するための私たちからの提言も掲載しています。詳しくは報告書をお読みください。
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