ケニア:メタ、ネットフリックス、ブリティッシュ・エアウェイズが利用しているカーボン・オフセット・プロジェクトが地域の土地を不法に取得したとして差し止められる

Pastoralist Media Initiative
[Landmark Court Ruling Delivers Devastating Blow To Flagship Carbon Offset Project] 2025年1月31日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
ケニアで下された判決が主力のカーボン・オフセット・プロジェクトに大きな打撃を与えたとして注目されている。このプロジェクトは、メタ、ネットフリックス、ブリティッシュ・エアウェイズなどの多国籍企業が利用し、先住民活動家から長らく非難されてきた。影響を受けたコミュニティの165人が起こした訴訟におけるこの判決は、物議を醸している動物保護団体「ノーザン・レンジランド・トラスト」(NRT)が設立した最大の自然保護区のうち2つが違憲で法的根拠がないことを確認した。裁判所はまた、NRTの重武装のレンジャーに対して自然保護区から立ち去るよう命じた。レンジャーは同地域の先住民に対する度重なる深刻な人権侵害で告発されている。2つの自然保護区のうちの1つのBiliqo Bulesaは、物議を醸しているNRTのプロジェクトに関連するカーボン・クレジットの約5分の1を占めており、欧米企業とのカーボン・オフセット取引に使用されている。この判決は、訴訟には参加していないものの、同プロジェクトに使用されていて、同じ法的立場にある他の保護区の約半数に適用される可能性が高い。つまり、NRTがすでに何百万ドルもの利益を上げているプロジェクト全体が危険にさらされているということだ (NRTは財務諸表を公開していないため、正確な金額は不明) 。
この訴訟は2021年に初めて提起されたが、判決はつい最近になってイシオロ環境・土地. 裁判所から言い渡された。この訴訟の核心にある法的問題は、サバイバル・インターナショナルによる「血の炭素(Blood carbon)」報告書で明らかにされた。さらにこの報告書は、牧畜民である先住民の家畜の活動を管理することで、その地域の植生が増加し、土壌に蓄えられる炭素の量が増えるというNRTのプロジェクトの根幹にも異議を唱えている。この判決は、カーボン・クレジットの主要な認証機関であるVerraの信頼性に対する一連の打撃の最新例でもある。NRTのプロジェクトに参加している保護区の一部には明確な法的根拠がなく、カーボン・クレジットをNRTに「譲渡」したり「所有」させることができていなかったが、このプロジェクトはVerraによって検証および承認され、同社のシステムで2回認証されていた。サバイバル・インターナショナルにより、2023年にプロジェクトの見直しが行われたが、問題には対処できなかった。サバイバル・インターナショナルのディレクター、キャロライン・ピアース氏は、「判決は、コミュニティが長年主張してきたことを裏付けるものとなった。つまり、保護区の設立についてコミュニティとの適切な協議が行われず、土地の権利が損なわれているということだ。EU、フランス、USAIDなどNRTの西洋支援国は、違法と判断された活動に資金を提供してきたため、NRTへの資金提供を停止しなければならない」と述べた。[...]
訴訟では、NRTが未登録のコミュニティの土地に「コミュニティの参加や関与なしに」保護区を設立し運営していると非難されており、これには私有の自然保護区のためにコミュニティの土地の境界を定めて併合する前に、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)を得ていないことなどが含まれている。訴状には、「(NRTは)レンジャーと地方行政と協力し、コミュニティのリーダーが彼らの計画に反対しようとした場合に脅迫や強制、脅しを続けている」と書かれている。この訴訟は、Biliqo Bulesa保護区(NRTのプロジェクト地域にあり、同プロジェクトのカーボン・クレジットの20%を占める)とCherab保護区の2つの保護区のコミュニティによって起こされた。裁判所は、これら2つの保護区は違法に設置されたと裁定した。NRTおよび他の団体が同地域に立ち入ること、およびレンジャーやその他の代理人をそこで活動させることを禁じる恒久的な差し止め命令が出されている。政府は共同体土地法(Community Land Act)に基づいてコミュニティの土地を登録する作業を進め、それぞれの地域でNRTが事業を行うためのライセンスを取り消さなければならない。NRTのカーボン・オフセット・プロジェクトトは、世界最大の土壌炭素回収プロジェクトと言われている。