EU:企業のサステナビリティ関連法を緩和するオムニバス修正案を採択したEU議会法務委の立場に、人権団体が「説明責任の後退」と警告
[Changes to EU Law Will Undermine Corporate Accountability] 2025年10月13日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
2025年10月13日、欧州議会の法務委員会は、企業のサステナビリティ関連法[を一括して簡素化・調整するための包括的な改正案「オムニバスIパッケージ」]の修正案を採択した。[この法務委員会での採択は、欧州委員会が2025年2月に提出したオムニバス案に対し、議会側が交渉に臨む際の立場を決定するものであり、今後の本会議採決および理事会・欧州委員会との三者交渉に向けた重要な一歩となる。]
今回の修正案は、中道右派の欧州人民党(EPP)に所属するヨルゲン・ワールボーン議員(Jörgen Warborn)が報告者として提出したもので、[...]当初のオムニバス案よりもさらに踏み込んで規制を緩和し、適用対象を従業員5,000人以上、かつ年間売上15億ユーロ以上の大企業に限定する内容となっている。この修正により、報告義務の対象となる企業数は全体の72%以上減少する見込みだ。[...]
ワールボーン案はさらに、当初案に含まれていたEUレベルでの民事賠償責任制度の導入を削除した。これにより、被害者や企業、裁判所は[EU全体の統一的な枠組みではなく、加盟国ごとに異なる多数の法律を個別に適用しなければならず、]法的な複雑さが一層増すことが懸念されている。
ワールボーン氏は今回の交渉の過程で、他の会派に対し、[妥協案を受け入れなければ極右政党と協力して法案をさらに弱体化させる」と警告したと報じられており、その結果、一部の会派はこの妥協案への賛成を余儀なくされた。また、市民社会組織(SOMO、Human Rights Watchなど)は、「オムニバスI案」の推進には業界団体や欧米の化石燃料企業が強い影響力を及ぼしたと指摘している。
これに対し、調査会社イプソスが10月2日に実施した世論調査では、EU市民の多くがオムニバスI案の方向性とは対照的に、「大企業は人権侵害や環境破壊に対してグローバルなサプライチェーン全体で責任を負うべき」と考えていることが明らかになった。また、数十社に及ぶ企業や投資家も、強固な企業デューディリジェンス(人権・環境配慮義務)の導入を支持している。
人権団体は、今後の交渉で議員たちが法案を見直し、企業の説明責任を弱めるのではなく強化する方向で修正するよう求めている。とくに、可能であればEUレベルでの民事責任制度を再導入することを訴えている。そうしなければ、各国や企業が規制緩和を競い合う「底辺への競争(race to the bottom)」を追認し、世界的な人権・環境基準の後退を招く危険があると警告している。
参照: ClientEarth、ドイツサプライチェーン法イニシアチブ(ドイツ語)、クリーン・クローズ・キャンペーン、Frank Bold、BHRRC(いずれもLinkedIn経由の声明)