国連専門家が共同声明を発表:パンデミックからの回復におけるデジタル権を重視
[Pandemic recovery: Digital rights key to inclusive and resilient world] 2021年6月4日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
新型コロナウイルスのピーク時やその後、世界が市民社会スペースを再構築していく中で、人権はオフラインと同様にオンラインにも適用され、デジタル権が最優先されなければならないと国連の専門家たちは強調している。
「インターネットやデジタル技術は特にCOVID-19パンデミックの際に、公的自由の行使や健康関連情報、医療へのアクセスに関する新たな道を示し、重要な役割を果たした。しかしながら国家はこれらの技術を活用して、反対意見を封じ込めたり、監視したり、オンラインやオフラインの集団行動の鎮圧を続けている。にもかかわらず、テクノロジー各企業はこれらの人権の乱用を回避するための行動をほとんど何も取っていない」と専門家は述べている。
6月7日から11日まで開催された、デジタル・人権団体の年次サミット「RightsCon」に先立ち、国連の人権専門家9人*は「デジタル空間の急速な拡大と、安全で包括的な人権ベースの技術的解決策を受け入れるために、我々は共に行動を起こす必要がある」と述べた。
「より良い再建」を目指すコロナの復興活動において、 市民社会スペースが閉ざされ、言論・メディアの自由が抑圧される原因となっている深刻な脅威に対処しなければならない、と専門家は述べている。それに加えて、組織的暴力、気候変動、社会的不平等、組織化された人種差別主義、ジェンダーに基づく暴力などの継続的な世界的危機への対処も必要に迫られている。
専門家は深刻な脅威に関する行為として、次の各事項を指摘した。平和的な抗議活動に対するインターネットの遮断、情報格差や基本的な人権・福祉を含むアクセシビリティ障害、偽情報や誤報、各メディアへの攻撃活動、アルゴリズムによる差別、人権擁護者に対するオンライン上の脅威、大規模・標的型の監視、サイバー攻撃、暗号化を弱体化させようとする試みなどが、具体的な脅威行為の対象である。
さらに専門家は企業に対して、政府への情報提供を止めるよう呼びかけている。これらの情報には、スパイウェアや、顔・性別・障害・感情を認識するアプリケーションなどが含まれている。人権擁護者と市民社会活動家が人権を守り、正当な権利を主張する際、これらの情報提供はリスクの高まりにつながる。企業はこれらのリスクを防止し、対処し、意識的または不注意に市民社会スペースをさらに狭めることを回避する必要がある。
*専門家:Fionnuala Ní Aoláin, Special Rapporteur on the promotion and protection of human rights while countering terrorism; Clément Voule, Special Rapporteur on the rights to freedom of peaceful assembly and of association; Olivier De Schutter, Special Rapporteur on extreme poverty and human rights; David R. Boyd, Special Rapporteur on Human Rights and Environment; Gerard Quinn, Special Rapporteur on the rights of persons with disabilities; Tlaleng Mofokeng , Special Rapporteur on the right to physical and mental health; Irene Khan, Special Rapporteur on the promotion and protection of the right to freedom of opinion and expression; Mary Lawlor, Special Rapporteur on the situation of human rights defenders; Dante Pesce (Chairperson), Surya Deva (Vice-Chairperson), Elżbieta Karska, Githu Muigai, and Anita Ramasastry, the Working Group on Business and Human Rights