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レポート

2022年6月27日

著者:
OECD Watch

OECDウォッチの年次報告書「State of Remedy」、2021年においても各国連絡窓口は実効的な救済の実現をほとんど促進できていないと明らかに

[OECD Watch’s annual ‘State of Remedy’ report finds NCPs still largely failing to facilitate effective remedy outcomes in 2021 ] 2022年6月27日

[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]

OECDウォッチが毎年行っている救済状況の分析により、OECD多国籍企業行動指針で定められた各国連絡窓口(NCP)に2021年に寄せられた苦情の大半が状況の改善につながっていないことが分かった。同報告では、実効的な執行を伴うデューディリジェンスを義務づける法律の必要性を強調すると同時に、責任ある企業行動に関する優れた国際基準としてのOECD行動指針の地位を継続するには、同指針の改訂が早急に必要であることが確認された。

コミュニティや市民社会が主導して2021年に提起された苦情22件のうち、半数は最初の評価段階でNCPにより却下されており、企業に対して異議を唱える機会さえ提起者には認められていないことが分かった。調停に持ち込まれた6件のうち、合意に至ったのはわずか2件で、両件において人権方針およびデューディリジェンスの改善に取り組むことを企業側が約束している。3件の苦情についてNCPは、企業側がOECD行動指針に沿った行動をしていないと判断した。残念ながらそのいずれにおいても、現場での改善や提起者に対する具体的な救済に直接的にはつながっていない。いくつかの個別のNCPにおける実績には良い点がみられたものの、NCPの仕組み全体としては憂慮される結果となった。

不十分な指針

今回の分析では、アクセス性と実効性の欠如をはじめ、OECDウォッチが毎年のように確認し、報告してきたNCPのプロセスおよび判断に関する多くの問題が明らかになった。これらの問題の根源は、各国政府を代表する政治的意志の欠如にあるが、それだけではなく、NCPに関する指針や指示が不十分であるなど同指針の内容そのものにもある。その結果、NCPの仕組み全体の予見可能性および実効性の欠如につながっている。

OECDおよび加盟国への提言

本日6月27日、「OECD責任ある企業行動に関する作業部会」の年次会合が始まる。OECDウォッチは、OECDおよびその加盟国に対し、行動指針の改訂も視野に入れて引き続き運用状況を見直すよう強く提案する。OECDの取りまとめ報告書は、同行動指針に関して、企業に対する基準を引き上げ、NCP体制を強化する可能性があることを明記している。OECDウォッチは、現在の行動指針の内容は最新の情報を反映していないだけでなく不完全であり、NCPに対する最低限の期待値は低すぎる上にあまりに曖昧であると考えている。OECDウォッチは、作業部会に対し、行動指針の改訂を主導し、その重要性とNCPの実効性を維持するよう強く求める。

さらにOECDウォッチは、OECD加盟国やOECD行動指針を遵守する国の政府ならびに欧州連合に対し、自社の事業活動に伴う負の影響を回避し、是正するためにデューディリジェンスを実施するよう企業に義務づける法律を早急に採択するよう要求する。このような法律は、OECD行動指針や「責任ある企業行動に関するOECDデューディリジェンス・ガイダンス」が定めるデューディリジェンスの概念化に基づくものとし、違反に対して民事責任を問うことができるような実効的な執行体制も同時に整備するべきである。こうした法律により、自らの裁量による論争解決のためにNCPが有する非司法的手段に見合った事案に注力できるようになることで、NCPの実効性が高まるものと考える。

報告書全文はOECDウォッチのウェブサイトにて掲載。