オランダ:欧州顧客データをロシア連邦保安局に転送している疑いからロシアのタクシー配車アプリ「ヤンゴ」の調査を実施
[Russia’s Uber rival probed over fears of data sharing with FSB] 2023年10月11日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
ロシアのインターネット検索大手Yandex NV(ヤンデックス)のタクシー配車アプリYango(ヤンゴ)に対し、EUデータ保護規則に基づく調査が実施されている。同社が、ロシア連邦保安局(FSB)による欧州顧客データ収集のパイプ役になっているのではないかと懸念が生じているためだ。
現在、オランダのデータ保護局は、EUのデータ保護規則に基づき、ヤンゴの調査を実施している。ロシアでは9月1日から、タクシー事業で処理されたデータをFSBが取得できるという物議を醸す法律が発効しており、この法律によって生じるリスクについて、フィンランドとノルウェーの当局はすでに懸念を表明してきた。
オランダのデータ保護局のスポークスマンは、10月11日に電子メールで「ヤンゴの調査を開始していることは事実だ」と声明を出したが、それ以上のコメントは控えた。
フィンランドのデータ保護当局は8月、ヤンデックスに対して9月1日以降、フィンランドとノルウェーにおけるヤンゴ関連の顧客データのロシア転送をすべて停止するよう緊急命令を発令した。その後、フィンランド、ノルウェー、オランダの調査により、欧州でのヤンゴの事業はロシアの規制管轄外で新法は適用されないことが判明したため、データ転送の停止措置は9月26日までで解除された。
ヤンゴは「データの保存ならびに国際転送を含めて、当社の事業がEU一般データ保護規則(GDPR)を遵守していることを示すため」、オランダのデータ保護局と「協議を行なっている」と、電子メールでの声明で述べた。さらに、同社のデータ処理は「欧州市民の基本的な権利と自由に差し迫った脅威をもたらすものではない」ことをフィンランドとノルウェーの当局にすでに示していると付け加えた。
ロシアのウーバーとも言われるヤンゴを、フィンランド当局は2019年から監視対象とし、同社のデータ処理を誰が管理しているのかを明確にするよう求めている。
「当局の調査により、ヤンゴのタクシー事業を通じて収集された個人データがロシアに転送されていることが明らかになった。FSBは、タクシー法の範囲に関係なく、ロシアに転送されたデータにアクセスできる可能性があるが、調査はまだ進行中である」とフィンランド当局は[...]述べている。
フィンランドのデータ保護オンブズマンによると、ロシアの法改正は、タクシー事業で処理されたデータをFSBが入手できる権利を「大幅に拡大」することになるという。
欧州市民のデータに新法が適用されないことは判明したものの、各国当局はヤンゴによる個人データ転送の合法性を引き続き監視する意向である。
ヤンデックスの担当者にコメントを求めたが、回答はなかった。