シエラレオネ:新報告書、カーボン・オフセットのための植林計画が、地主の同意を合法的に得ていないことを明らかに;企業コメントを含む
[Controversial carbon offset project spells hardship for local communities] 2024年5月3日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
カーボンクレジットの取引は、ここ数年大きな利益を生むビジネスとなっている。西アフリカのシエラレオネでは、国際的な投資家がカーボン・オフセット・プロジェクトに使用する大規模な植林計画を進めている。その一方で、スイスの開発援助団体「スイス福音教会救援機関(HEKS/EPER)」の調査によると、土地を所有する多数の農家が、このプロジェクトに法律で定められた方法で同意していないことが明らかになった。これは、シエラレオネの法律に則っていないだけではなく、カーボン・クレジット認証団体Verra(ベラ)が掲げる原則にも違反することになる。スイスのコンサルティング会社、エコセキュリティーズ社も物議を醸すこのプロジェクトに関与している。現在多くの企業が「我々の事業は気候中立である」と主張しているが、現実では大量のCO2を排出し続けているケースもある。森林再生などを通じて排出量を削減したり、炭素を貯蔵したりすることを目的としたプロジェクトからCO2削減証書を購入することがこれらの企業の手口である。
こうした方法は、証明書を供給する側にとっては儲かるビジネスである一方で、世界的な土地需要を増加させ、グローバルサウスの小規模農家が土地の支配権を失う事態を招いている。その結果として、農家が生計手段を失うことも少なくない。[...] HEKS/EPERとシエラレオネのNGO4団体が行った調査では、このプロジェクトの合法性に重大な疑問が投げかけられている。シエラレオネの土地法では、賃貸契約には土地を所有する家族の60%の書面同意が必要であり、事前にその土地で計画されているプロジェクトについて十分に説明を受けなければならないと規定されている。そして、投資家はその承諾書を当局に登録しなければならない。これらの手順を経てようやく土地の売却や賃貸が可能になるのである。今回25の村の住民を対象に実施した調査では、これらの規定が遵守されていないことが判明した。さらに調査チームが要求した際、Carbon Done Rightとリワイルディング社が提出した書類は不十分であった。
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他にも深刻な問題がある。例えば、エコセキュリティーズ社は農園の土地は生産性が低いと主張しているが、その一方で、調査チームが調査した村人たちは、彼らが実際に自分たちの食糧を生産するために土地を利用していること強調している。[...] 調査チームは、この植林計画の合法性や、約束されたCO2貯留量の達成可能性に深刻な疑問を抱いている。これはまた、このプロジェクトが認証されるべきかどうかという問題も提起する。炭素クレジットはVerraの認証を受けて初めて取引可能となるのである。HEKS/EPERとシエラレオネのパートナー団体は、今後も現地の動向を注意深く監視し、影響を受けるコミュニティの権利保護を主張し続ける。