ミャンマー:市民社会組織、日本企業3社のミャンマー軍所有企業と関係があるターミナル事業からの撤退において、透明性の確保と人権基準順守を求める
[制裁対象のミャンマー軍所有企業と関係する日本の企業、政府貿易保険機関、官民投資ファンドはミャンマーの港湾事業から責任ある撤退を] 2025年5月16日
日本とミャンマーの七つの市民団体は、上組、住友商事、豊田通商、また政府が出資するインフラ投資企業である海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、および日本貿易保険(NEXI)に対し、TMIT事業への関与について懸念を表明し、2021年2月1日にミャンマー軍が起こした未遂クーデター後に適切な人権デューデリジェンスを実施したかを問う書簡を送りました。書簡はまた、とくにミャンマー港湾公社(MPA)が2025年1月にティラワ多目的国際ターミナルの新たな長期運営主体について入札公告を出したことに照らし、同ターミナルからの撤退計画についても尋ねました。
回答が寄せられたものの不十分な点が多く、7つの市民団体はJOINおよび関係企業に対し、人権保護義務を果たす形でティラワ多目的国際ターミナル事業から完全に透明で責任ある撤退を行い、ミャンマー軍政にいかなる金銭的利益も与えないと確約することを求めます。また、すべての当事者が人権面の義務を果たすまで、今後の展開を注意深く監視し、公的な説明責任を求め続けます。
全文と各社への質問と回答は、下部を参照してください。
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日本とミャンマーの7つの市民社会団体は、日本の投資家、日本政府が出資する貿易保険機関、そして日本の官民インフラファンドに対し、ティラワ多目的国際ターミナル事業からの撤退において透明性を確保し人権基準を守るよう求めました。同ターミナルは、制裁を科されているミャンマー軍所有企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(MEHL)との関係が証明されているエバー・フロー・リバー(EFR)グループというクローニー(政商)企業と共同で運営されてきました。
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ティラワ多目的国際ターミナルは、ミャンマーに対する日本の政府開発援助(ODA)の一環で建設されました。
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国連のミャンマーに関する独立事実調査団(FFM)は、人権侵害を可能にするおそれがあることを理由に、いかなる企業もMEHLやその関連会社に関与するべきではないと具体的に勧告しました。MEHLは、米国、英国、EU、カナダ、オーストラリアによって制裁を科されており、ランピー・マリーン社もMEHLの子会社であるため制裁対象に含まれます。
上組、住友商事、豊田通商からは返信があり、ティラワ多目的国際ターミナル事業から撤退し、精算手続きを始めたことが確認されました。これら3社はまた、人権を保護し、撤退に際する従業員の転職などの支援を含めて従業員の安全を確保するための措置を講じたとも主張しました。
しかし、事業からの撤退が、OECD多国籍企業行動指針や国連ビジネスと人権に関する指導原則を含む国際的な人権基準を満たしているかについての詳細は明らかにされていません。事業の資産がどのように処理されるかや、コンセッション契約解除に伴う違約金の支払いによりミャンマー軍政が利益を得るのか、また事業からの今後の収入がミャンマー軍と関係のある事業体に流れるのをどう防ぐのかについても透明性が欠如しています。
JOINからはいまだに実質的な回答がありません。[...]
ティラワ多目的国際ターミナル事業において付保を行ったNEXIは回答で、同事業を「負の環境影響が最小限か、または全くない」ものに分類したこと、したがって環境レビューを実施しなかったことを明らかにしました。NEXIはまた、同事業に対する貿易保険の責任期間が終了しているとも述べました。しかしNEXIは、OECD多国籍企業行動指針を守ると明言しているにも関わらず、同事業の人権に対するリスクについては言及しませんでした。
上記7団体は、JOINおよび関係企業に対し、人権保護義務を果たす形でティラワ多目的国際ターミナル事業から完全に透明で責任ある撤退を行い、ミャンマー軍政にいかなる金銭的利益も与えないと確約することを求めます。
また、すべての当事者が人権面の義務を果たすまで、今後の展開を注意深く監視し、公的な説明責任を求め続けます。
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