日本:花王やUCCなどメーカーがサプライチェーンにおける人権・環境問題への取り組みを強化
[Japan consumer goods sector buys into sustainable procurement] 2022年10月24日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
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日用品トップメーカーである花王は、パーム油のプランテーションによる人権侵害などに関する苦情を受け付ける苦情受付制度を、インドネシアを皮切りに導入した。一方、UCCホールディングスは、グループ会社のUCC上島珈琲が購入するコーヒー豆を独自に監査する。
消費者の人権や環境問題への関心が高まる中、両社は特に新興国での事業の持続可能性に着目している。
花王は9月に苦情受付制度を導入し、インドネシアの小規模パーム油農園が専用ウェブサイトにアクセスし、取引先企業の違法取引や人権侵害を報告できるようにした。
申立は、国際人権団体「経済人コー円卓会議」を通じて花王に伝えられる。これを受けて、花王はパーム油メーカーと連携し、改善を図っていく。
花王は、まずインドネシア北部の約50農園に導入し、2025年までに500農園に増やす計画。日本の日用品メーカーでこのようなシステムを提供するのは、同社が初めてという。日本では、すでに不二製油ホールディングスなどが同様のシステムを導入している。
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花王は、サプライチェーンをモニタリングできるシステムを構築したいと考えている。また、東南アジアのパーム油生産農園が、社会的・環境的に認められた認証を取得できるような取り組みも行なっている。
花王常務執行役員・根来 昌一氏は、「今後、社員が農園を訪問する機会を増やしていく予定。また、報告された事例とその対応について、定期的に情報開示し、他社に参考にしていただきたいと考えています」と述べている。
UCCホールディングスは、コーヒー豆のサプライチェーンを第三者機関が監査する制度を導入している。[...]今春から導入した制度では、生産・流通工程を部分的に監査しており、今後は監査範囲を拡大する予定。
UCCはこれまで、南米やアジアの生産拠点を定期的に視察してきたが、今後は第三者機関が関与しやすくし、課題解決につなげる。
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UCCホールディングスの執行役員・里見陵氏(サステナビリティ担当)は、「コーヒー産業を持続可能なものにするためには、小規模生産者の生活・労働環境の改善が不可欠です」と述べている。
ロッテも、カカオ豆の低賃金や児童労働に国際的な関心が集まっているアフリカでの事業を検証している。ロッテは、この問題に取り組むため、購入費用の一部を生産者支援に充てる制度を導入し、2025年度までに購入するカカオ豆の約8割を占める生産者に支援を拡大する予定。
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また、日本企業では明治が2022年にカカオ豆の皮の商品化により農家の収入を支援する取り組みを開始した。
ロッテと明治の取り組みは、環境と人権に配慮した持続可能な条件で生産された商品を求める消費者志向の高まりに対応しようという意図がある。
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