日本:日経新調査、サプライチェーンにおける人権侵害に対処するためのメカニズムを導入している企業は3分の1以下であると明らかに
[Nearly 75% of Japan Inc. is lax on supply chain rights abuses: survey] 2022年11月17日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
日経の調査によると、サプライチェーンにおける人権侵害に対処するための仕組みを導入している日本企業は3分の1以下であり、持続可能なビジネスの運営には多くの課題があることが明らかになった。
今年の日経「SDGs経営調査」によると、調査対象の886社のうち660社、つまり74.5%が、組織内で発生した人権侵害を報告し解決するための手続きを設けていることがわかった。
これらの企業の多くは、親会社だけでなく、グローバルな子会社にもその対策を適用している。しかし、サプライチェーン全体への適用をさらに進める企業は269社(全体の30.4%)にとどまった。
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日本最大の銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループは4月、環境や人権に負の影響を与える可能性のあるプロジェクトに対する融資基準を厳格化した。例えば、パーム油産業については、MUFGは融資先に対し、事業が厳しい国際的な持続可能性の基準を遵守していることの証明書の提出を求めるようになった。
また、飲料メーカーのアサヒグループホールディングスは、取引先からの内部通報を受け付ける「クリーンライン」を設置している。また、コーヒー豆などの原材料の調達先については、原産国での審査を実施しており、今後、対象となる国や原材料を増やしていく予定である。
しかし、このようなコンプライアンス対策を徹底している企業はほとんどない。海外のサプライヤーの人権状況を定期的に現地で監査していると回答した企業は、調査対象の256社、28.9%に過ぎない。また、その7%にあたる62社は、第三者による監査に委ねている。
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日本政府は9月に「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を発表し、関係者は企業に積極的な対応を促している。
SDGsの総合評価では、損保ホールディングス、オムロン、資生堂が初めて上位に食い込んだ。特に損保は、地域社会に貢献する活動に取り組む社員を全社的に支援していることが評価された。
今年で4回目となる日経SDGs経営調査は、4つのカテゴリーで取り組みを評価している。「SDGsの戦略と経済価値」「環境価値」「社会価値」「ガバナンス」の4つのカテゴリーで取り組みを評価する。[...]
本調査では、日本企業886社からアンケートへの回答があった。対象は上場企業824社で、非上場企業は従業員100人以上。