2024WBAのソーシャル・ベンチマーク、世界で最も影響力のある企業の90%が、人権、ディーセントワーク、倫理的行動の確保で遅れをとっていると報告;CSDDDに関するガイダンスを含む

World Benchmarking Alliance
[Press release: 90% of world’s 2,000 most influential companies failing to ensure human rights, decent work and ethical conduct] 2024年7月2日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
ワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)は本日、初のソーシャルベンチマークを発表し、人権の尊重、適切な仕事の提供、倫理的な行動という3つの評価分野における社会の基本的な期待に応える責任について、世界で最も影響力のある2,000社の企業を評価した。このベンチマークは、平等で包括的かつ公正な社会を創造する中で、誰も取り残されることがないよう、企業が早急に進歩を遂げる必要のある重大なギャップと分野を明らかにしている。
SDG2000としても知られる、世界で最も影響力のある2,000社には、最大手のアパレルブランドや食品ブランドが含まれ、世界のGDPの45%に相当する収益を生み出している。これらの企業は直接9,500 万人を雇用し、バリューチェーンを通じて間接的にさらに数億人を雇用している。
驚くべきことに、評価対象となった企業の90%は、人権、ディーセント・ワーク、倫理的行動に関する基本的な社会的期待を半分も満たしていない。企業の 30%以上は、合計20点満点中0点から2点しか獲得していない。
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WBAの社会変革リーダーであるナミット・アガルワル氏は次のように述べている。
「SDG2000企業は、一部の大国に匹敵するリソースと影響力を持ち、多くの国の人口よりも多くの人々に影響を与えている。これらの企業の90%が基本的な社会的期待に応えられていないという事実は、民間部門の現状を示している。平等で包括的で公正な世界を作るリーダーシップを発揮することは、政府が貧困を撲滅し、不平等を減らし、すべての人がディーセントワークにアクセスできるようにする上で大きな助けとなる可能性がある。規制、ガイダンス、外部からの圧力は、企業を正しい方向に導くために必要だ。」
WBAは、政策立案者や投資家を含むリーダーに対し、以下の4つの優先分野を通じて企業が基本的な社会的期待に応える責任を負っていることを確認するよう呼びかけている。
企業は生活賃金の支払いと長時間労働の防止に取り組むべきである:
60%以上の企業が適正賃金について何らかの開示を行っており、45%以上の企業が労働時間について何らかの開示を行っている。しかし、労働者に生活賃金を支払うことを公約している、または現在支払っている企業はわずか4%である。
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企業は、不当な政治的影響を避けるために、ロビー活動において透明性を保つ必要がある:
最も影響力のある2,000社のうち、ロビー活動と政治関与のアプローチを公に示す方針を制定しているのはわずか11%で、ロビー活動の費用に関するデータを開示している企業はわずか5%だ。
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企業は、人権とディーセントワークの慣行の改善に協力するために、影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメントを行わなければならない:
影響を受ける、または影響を受ける可能性のあるステークホルダーとどのようにエンゲージメントをしているかを伝えている企業はわずか9%。[...] 影響を受けるステークホルダーとエンゲージメントを行っている企業は、ベンチマークのすべての指標で平均して優れたパフォーマンスを発揮している。
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規制、ガイダンス、外部からの圧力は、変化を推進するために不可欠だ:
人権に係る規制のある国に本社を置く企業は、そのような規制のない国に本社を置く企業よりも、人権デューディリジェンスのスコアが約60%高い。それでも、それらを完全に実施している企業はわずか6%である。
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次のステップ [レポートより]
2024年ソーシャルベンチマークの結果は、企業が人権を尊重し、ディーセントワークを提供・促進し、倫理的なビジネス行動を主流にするには、まだ長い道のりがあることを示している。しかし、業界や地域を問わず、多くの企業が優れた実践例を示していることも示している。さらに、政府の規制やステークホルダーの圧力やガイダンスが実施されているところでは、企業が介入して前進するためのインセンティブとサポートがあることが示されている。
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WBAのソーシャル・ベンチマークは、企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)に対する準備態勢について何を教えてくれるか
WBAの新ベンチマークを、目前に迫ったCSDDDに照らし合わせてみると、企業による大幅なスキルアップと投資が急務であることがわかる。これと相まって、欧州委員会とEU加盟国は、CSDDDガイダンスと支援措置の提供を優先する必要がある。金融セクターは最もパフォーマンスが悪いセクターのひとつである。