日本:JERA、3億ドル社債の化石燃料リスク開示をめぐり、環境NGOがシンガポール証取に異議申立
[Japan power giant Jera faces SGX whistleblowing complaint], 2023年2月15日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
日本最大の発電会社JERAが2022年4月に発行した3億米ドル規模の社債について、財務および法的リスクに関する重要情報の開示を同社が怠ったとして、環境問題に取り組む団体がシンガポール証券取引所(SGX)に苦情を申し立てた。
同社債はSGXに上場している。
化石燃料への融資を監視する環境NGOマーケット・フォースは水曜日午前、SGXの苦情対応窓口を通じて異議申し立てを行った。
同団体は、ロシアによるウクライナ侵攻で液化天然ガス(LNG)の価格変動性が増す中でLNGへの投資に伴うリスクなど重要情報をJERAが開示しなかった点や、オーストラリアでの訴訟に言及しなかった点を指摘。
JERAの広報担当者はロイターの取材に対し、事実関係を確認中であると回答した。シンガポールのザ・ストレーツ・タイムズ(ST)紙もJERAにコメントを求めた。
ST紙への回答として、SGXグループの広報担当者は「他の異議申し立てと同様、必要な対応を検討・実施していく」と述べた。
JERAは、2022年4月14日、利率3.665%の5年債を発行。
苦情によると、同社債は、証券先物法、SGXルールブック、SGX捜査権限の適用対象となる。
「JERAは、同社がシンガポール証券取引所で発行した米ドル社債への投資に伴うリスクを投資家が把握・予測するための情報を開示せず、詳細を十分明らかにしなかった」と説明されている。
苦情では、同社の開示義務が継続している点に触れ、2022年4月7日付の目論見書とその後の情報公開において、JERAが社債への潜在的な投資家に情報資料を提示しなかった点も非難されている。
LNG産業を含む化石燃料業界は、「地政学的に主要な出来事や気候変動など、システミックリスクの影響を非常に受けやすい」点を併せて指摘。
「LNGのバリューチェーン全体に大きな存在感を持つエネルギー企業として、LNG産業が直面するリスクおよびそうしたリスクの管理計画に関するJERAの情報開示は決定的に欠けている」とした。
また、申立では、アジアの主要な成長市場におけるLNGの需要予測が、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、限られた供給力と価格高騰のために削減され、その変動は今後数年間続くと予想されていると述べている。
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さらに、JERAは、2050年までに排出量をゼロにするための脱炭素化の道筋を示すリスクとその整合性を示す分析も行っていない、と付け加えた。
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今回の提訴は、株主や環境保護団体などが、化石燃料企業に対して、気候変動を加速させる恐れのある誤解を招く行為や投資判断を行ったとして、訴訟を起こすケースが増えつつある中で、その一環となるものである。
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