ワールド・ベンチマーキング・アライアンス、世界有力企業のうち、サプライチェーンの人権リスクを評価しているのは1割未満、生活賃金を支払う企業は5%未満と報告
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[2026 Benchmark Hub] 2026年1月13日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
世界的な非営利団体であるワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)は、世界で最も影響力のある企業2,000社を対象とした最新の調査で人と地球への影響について各企業を評価し、ランク付けしている。
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グローバル企業はいま、どこまで説明責任を果たしているのか
本分析の対象となった2,000社は、年間売上高53兆ドルを生み出し、世界の温室効果ガス排出量の54%を占める。また、直接雇用している労働者は1億700万人にのぼり、バリューチェーンおよびサプライチェーンを通じて約5億5,000万人の生計を支えている。その影響力は絶大であり、これら巨大企業の意思決定は、気候変動対策を前進させ、自然環境の回復を促し、すべての人に繁栄をもたらす原動力になりうる。
ベンチマーク評価の結果により、企業は、世界規模でのシステムの変革を推進するうえで中心的な役割を担っており、持続可能な未来の実現は企業の行動次第で大きく左右されるという現実が明らかになった。すでに一部の先進企業では、有効な解決策や実践的な仕組みが生まれ、前向きな動きも広がりつつあるが、依然として多くの企業が対応に後れを取ったままである。今、企業は明確な選択を迫られていると言えよう。世界で最も影響力のある主要企業各社が、迅速かつ果断な行動を起こし、大規模な投資の拡大を行うことが急務となっている。
主要な調査結果
各社が既存の成功事例と同水準まで投資を拡大すれば、2030年に向けたクリーンエネルギー投資不足の約3割を補い、パリ協定の「1.5℃目標」達成に大きく近づくことが可能。
主要企業のうち、生活賃金を支払っているのは5%未満にとどまり、世界中の多くの労働者が生活費負担に苦しんでいる。
自然関連リスクを定量的に評価している企業は9%にすぎず、この分野ではいち早く取り組む企業が大きな優位性を築ける段階にある。
サプライチェーンにおける人権リスクを評価している企業は1割未満であり、製品の流通経路を遡り、自然環境への影響を把握できている企業は5社に1社のみである。
主要テック企業の38%が「AI倫理原則」を公表しているが、人権影響評価の結果を開示している企業は皆無であり、業界全体での説明責任の弱さが浮き彫りになっている。
社会分野
WBAの社会分野の評価は、以下の4つの補完的なアセスメントを柱とし、企業の社会的責任および人権への取り組みを多角的に評価している。社会ベンチマーク(Social Benchmark)は2,000社を対象に、18の中核社会指標に基づき評価し、責任ある企業行動に対する期待をすべての評価に組み込んでいる。企業人権ベンチマーク(Corporate Human Rights Benchmark: CHRB)は、高リスク産業に属する約100社を抽出し、より詳細なセクター別分析を実施。ジェンダー・ベンチマーク(Gender Benchmark)は、アパレル、食料・農業分野の100社を対象に、詳細なジェンダー評価を実施。ジェンダーの評価は2,000社すべてを対象に、全体の比較を可能にするための簡素化されたジェンダー指標で評価。
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企業人権ベンチマーク(CHRB)概要
主なポイント
- 多くの企業が人権に関する取り組みを改善しているものの、約4分の1は前回評価から後退している。[...]
- 自動車製造セクターは改善率は最も高かったが、依然として業界全体で最低水準にとどまっている。[...]
- 企業はサプライヤーに人権基準を求める一方で、その達成に必要な支援を十分に提供していない。[...]
- サプライチェーンの透明性はいまだに大きな課題である。[...]
- 人権への影響と自社のビジネスモデルとの関係を評価している企業は10社に1社のみ。
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