インド:住民の同意なき巨大水力発電プロジェクトに軍が動員され、「違法・憲法違反」と非難の声
インド、アルナーチャル・プラデーシュ州シアン地域で計画されている「シアン上流多目的プロジェクト(Siang Upper Multipurpose Project:SUMP)」は、出力12,500メガワットの巨大水力発電計画である。しかし、この計画は先住民族や地元住民による強い反対運動を引き起こしており、住民らはこの巨大ダムを「環境・安全・生活様式への直接的な脅威」とみなしている。インド政府は最近、中央準軍警察(Central Armed Police Forces:CAPF)を動員して、建設に向けた実現可能性調査を進めた。この決定に対し、地域社会は「違法で憲法に反し、同意を強要する露骨な行為だ」と強く非難。シアン、東シアン、シアン上流域の代表者らは中央政府と州政府宛ての書簡で、「私たちはダム建設に関して同意を強要するいかなる試みにも断固として抵抗する」と表明し、プロジェクトへの同意を明確に拒否した。
さらにその書簡では、法律違反やグラム・サバー(村議会)署名の不正使用を指摘し、本件が2006年制定の「先住民族および伝統的森林居住者の権利法(森林権法)」に違反していると訴えた。
シアン渓谷へのCAPF派遣は地域の緊張を一層高めており、地元の先住民族と住民は「CAPFの即時撤退」と「シアンダム計画の中止」を求め続けている。
このプロジェクトは、国営企業ナショナル・ハイドロエレクトリック・パワー・コーポレーション(NHPC)が推進しているが、地元のアディ(Adi)民族を中心に、強い反対運動が広がっている。
ビジネスと人権リソースセンターは、NHPCに対して「軍事化」「調査の推進」「法律違反」「同意の強要」についてのコメントを求めたが、NHPCからの回答はなかった。
2025年5月には人権擁護者エボ・ミリ氏が、SUMPへの抗議活動を組織したとして拘束されたことが報じられている。さらに、SUMPの建設予定地でのCAPF動員は、先住民族の間に恐怖と緊張を生み、抗議活動の継続につながっている。
ビジネスと人権リソースセンターは、この拘束事案についてもNHPCにコメントを求めたが、回答はなかった。