インド:チョコレート・ココア製品メーカーのバリーカレボー社、労働者に対して団体交渉権へのアクセスと引き換えにコンプライアンス違反の申し立てを撤回するよう圧力;人権デューディリジェンスは機能していない
[India: Done with due diligence? Barry Callebaut pressures workers to withdraw non-compliance claims in return for access to collective bargaining rights] 2023年12月10日
[英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
2023年11月6日、バリーカレボー社がインドのバラマティで選出されたバリーカレボー労働組合(BCEU)の代表を解雇した翌日、経営陣は組合との労働協約締結を申し出た。ただしそれは、BCEUは過去12カ月間に起きた経営陣による権利侵害や虐待はすべてなかったと表明しなければならないという一つの条件付きであった。言い換えれば、組合員が団体交渉権を行使するために、組合が嘘を付く必要があるということだ。すべての(十分に文書化された)申し立てを撤回することで、企業は常にコンプライアンスを遵守していたと主張できるようになることが前提である。
数カ月にわたる圧力と嫌がらせ、さらに組合から選出された事務局長の不当解雇を受けて、組合員数は28人から18人にまで減少した。しかしこのグローバル企業は依然として、残りの18人の労働者に対して、申し立ては「事実無根だった」と証言させようとしている。その見返りとして、彼らの家族に経済的利益をもたらす労働協約を結ばせるというのだ。まともな世界であれば、これは巨大企業による貧しい農村コミュニティの労働者への虐待である。
バリーカレボー社がバラマティの工場における人権問題の是正、および結社の自由や団体交渉に対するすべての労働者の基本的権利の尊重を拒否したことは、グローバル企業としての運営方法に深刻な疑問を投げかけるものである。
- この問題の当初から、グローバル経営陣は調査することなくコンプライアンス違反を否定した。欧州のバリーカレボー社の従業員代表から疑問の声が上がって初めて、経営陣は数回の電話をかけただけではなく、調査を行った。しかし、その後数ヶ月で、企業のすべての回答と行動はバラマティの地元経営陣によって決定されていたことが発覚した。この経営陣はまさに、権利侵害に関与した人々である。
- このことは、バリーカレボー社がコンプライアンスをどのように捉え、権利侵害の申し立てにどのように対処しているのかに関して、深刻な問題提起をしている。グローバルな方針とコミットメントにもかかわらず、彼らの対処方法は、まず否定と弁明を行い、次に直接関与した人々に彼らがそれを行ったかどうかを尋ねるというものである。そうすることで、初期の否定を正当化するのに十分な証拠が得られるのである。
もしこれがバリーカレボー社のアプローチ方法であるならば、人権デューディリジェンスは機能しないと言えるだろう。そうなると、同社が事実無根、あるいは現在は解決済みであると主張している他のあらゆる形態の人権侵害(現代奴隷や児童労働を含む)についても疑問が生じる。