英国:新報告書、「急成長産業」の国境警備を受託し、民間企業が難民を排除するような政策を通じて利益を得ていると指摘;企業回答・無回答を含む

Jordhan Madec, Unsplash
2025年4月、リバプール大学、ヨーク大学、シェフィールド大学、ノッティンガム大学の研究者たちは、英国政府が英仏海峡での小型船の越境および国境警備の管理を企業に委託するために発注した契約を調査した報告書を発表した。報告によると、2015年以降、英国政府は国境警備および小型船による海峡越境の対応のために、総額37億7,000万ポンド超を民間企業に契約として提供している。
報告書は、英国の国境取締りシステムが民間の警備会社、IT大手、防衛請負業者によって支えられる「急成長産業」であると指摘している。また、研究者らは、政府が難民申請希望者のための安全かつ合法的なルートを整備するのではなく、難民申請者を「排除する」政策を通じて利益を得る民間企業を補助している主張している。
報告書によれば、最も高額な10件の契約を受注した企業は、エントラスト、ガリフォード・トライ・コンストラクション、アイ・ビー・エム、ライドス、マイティ、セルコ、テケバー(Tekever)である。
その他、契約先として以下の企業が報告書に名前が挙がっている。
アドルショー・ゴッダード、エオリアン・オフショア(Aeolian Offshore)、アンベックス、アンドゥリル・インダストリーズ、BAEシステムズ、ベル・コンテナ・トレーディング(Bell Container Trading)、ブリティッシュ・イベント・ケータリング(British Event Catering)、 Capita(キャピタ)、デロイト、ドックンロック(Docnloc)、エルビット・システムズ(Elbit Systems)、エンタープライズ・レンタカー、ファスト・エンジニアリング、富士通、G4S、キングス・フェリー(Kings Ferry)、リフティング・ギア・アンド・セーフティー(Lifting Gear & Safety)、ノーコントロール(Norcontrol)、RGESインターナショナル(RGES International)、スピーディー・アセット・サービス(Speedy Asset Services)、サバイテック・グループ、バーサドック(Versadock)、ワグテイルUK(Wagtail UK)
また、報告書はこの分野での公的責任が欠如している点も指摘し、契約が公的な監視のために公開されていないとしている。例えば、研究者らはアンドゥリル・インダストリーズが内務省に販売したとされる監視塔に関する記録が見つからないと述べている。
英国政府は、障害を持つ人々から数十億ポンドもの資金を搾取する憂慮すべき姿勢を示している一方で、約同額の資金が国境産業や民間企業に流れていることが私たちの調査で明らかになっている。緊縮財政の時代に、多くの企業が機能していない政府の政策から利益を得ている。トム・デービス博士、ノッティンガム大学地理学准教授
ビジネスと人権リソースセンターは、報告書で言及されたすべての企業にに本件への見解を求めた。アドルショー・ゴッダード、ブリティッシュ・イベント・ケータリング、G4S、ノーコントロール、マイティ・ケア・アンド・カストディ、セルコ、テケバーの回答は以下の通り。
その他の企業は回答しなかった。また、経営コンサルタント協会からも声明を受け取った。