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記事

2020年1月23日

著者:
竹信 三恵子、一般財団法人 アジア・太平洋人権情報センター

解説:「働き方改革」で侵される日本の労働権

『「働き方改革」で侵される日本の労働権』2019年11月

日本社会は、…[労働]権利が法的には認められている社会と考えられてきた。だが、そうした権利がいま、「働き方改革」の名の下で、おびやかされ始めている。

日本の労働市場は、過労死・過労自死に追い込まれかねない正規労働者の長時間労働と、貧困と隣り合わせの非正規労働者の不安定・低賃金労働の二極化が、大きな問題になってきた。

…こうした中で、問題視されているのが、過労死・過労自死だ。

…非正規労働者の大半は、最低賃金水準に置かれ、年収200万円に満たない「ワーキングプア」(法定時間働いても経済的自立ができない働き手)状態に置かれ続けている。短期契約であるため、労働条件に異議を申し立てると簡単に次の契約を打ち切られ、労組への加入も難しいからだ。これは、働き手の5人に2人近くを占める非正規労働者が、労働三権という、働き手の待遇改善のためのもっとも基本的な権利を、事実上奪われていることを意味する。

…女性から急拡大した非正規の働き方は、「夫の経済力があるから低賃金でも不安定でも構わない」という社会通念を利用される形で、劣悪な待遇に据え置かれ、いまなお非正規の7割は女性だ。ただ、1997年の山一破綻以降の人件費削減経営の拡大の中で、この枠組みは若者や男性たちにも広がり、貧困の温床となっていった。

こうした二極化はいま、次の事態に発展しつつある。非正社員が増え続け、正社員並みの基幹労働を最低賃金レベルの賃金でこなすようになると、正規は、非正規との待遇差の理由を説明せざるを得なくなる。残業や転勤などの義務を引き受けるから正社員は高い、という読み替えがそこに登場する。

…2018年に成立した「働き方改革関連法」は、「罰則付き残業上限規制」で正規労働者の改善を、「同一労働同一賃金」で非正規労働者の改善を図ろうとした、と一般に信じられている。だが、中身を点検していくと、むしろ逆の実像が見えてくる。

…だが、「働き方改革」の同一労働同一賃金は、会社の恣意に左右される能力・成果による「値決め」を法定化し、賃金差別を温存するものとなった。