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日本:格差の深層<上>「同じ仕事」年収半分 非正規「待遇改善して」
この企業では同じ職場に正社員、パート、派遣社員が混在する。七割を占める正社員の平均年収は六百万円超。パートや派遣など非正規は三百万円弱で倍以上の開きがある。派遣社員には交通費も出ない。
非正規の人は納得できない。十年以上働くパートの女性(46)はチラシ広告の画像作成のリーダー役。「正規がやるべき仕事をしているのに」と不満を漏らす。デザインを担当する派遣社員の女性(35)は「正社員ができない特殊な仕事もやっている」と訴える。
パートと派遣だけでチームの仕事をこなす。商品開発の会議にも参加し、夜遅くまで働く日も多い。正社員と変わらぬ責任を負っているという自負がある。
「同一労働同一賃金」。国際労働機関(ILO)が実現を求める原則だ。性別や雇用形態を理由に賃金、待遇で差をつけることを禁じ、欧州諸国で採り入れている。日本でも二〇〇八年施行のパートタイム労働法で、正社員と一定の条件を満たしたパートを同等に扱うよう求める。ただ、「正社員と同様に異動がある」など条件が厳しく、ほとんど空文化している。…正社員らも共に働く非正規社員の給与底上げを願う。しかし経営側は見直さず正社員の仕事の一部を非正規に移そうともしている。
(原文より引用)