セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの意見
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【意見を提出するパート】
第2章 優先分野
2「誰一人取り残さない」ための施策推進
(3)子ども・若者
ア 課題認識及びこれまでの取組
【意見の内容】
子どもが権利の主体であり、ビジネスにとっての重要なステークホルダーであると説明されている点、また子どもの権利条約に基づき指導原則を補完するとして「子どもの権利とビジネス原則」が本文に含まれた点を歓迎します。さらに企業のマーケティング活動による過度な商業的搾取、オンライン上での個人情報侵害や有害なコンテンツへのアクセスなど、現代の子ども・若者が直面する新たな課題に対する認識と対策について触れられていることを歓迎します。「こども性暴力防止法」については、第1回子どもに対する暴力撲滅グローバル閣僚会合(2024年11月開催)で日本政府が誓約(プレッジ)した3点のうちの1つが子ども性暴力防止法の確実な実行であり、これまでの取組の一つとして本NAPでもぜひ強調いただきたく思います。
【変更案】(下線部分を追記):
2024年6月には「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年法律第69号。以下「こども性暴力防止法」という。)」93が成立した。2024年11月開催の「第1回子どもに対する暴力撲滅グローバル閣僚会合」において、日本政府はその確実な実行について誓約している。
イ 取組の方向性及び具体的施策の例
【意見の内容】
取り組みの土台として「『子どもの権利とビジネス原則』の周知への協力及び同原則に基づく…施策の推進」および「こどもの人権に関する周知・啓発の推進」が含まれている点を歓迎します。また、個別課題として「子どもに負の影響を及ぼすデジタル広告コンテンツへの対策」が含まれた点も歓迎します。さらなる取り組みの強化が求められる点や、ギャップが残された課題について、以下の3点の追記を提案します。
1.最近国会でも議論されている性的なデジタル広告への子どものアクセスや個人情報の利用等を含む企業の広告・マーケティング活動による子どもの商業的搾取や子どもにもたらされる負の影響への対策は、規制を含みその検討が早急に求められます。
【変更案】(下線部追記):
・「子どもに負の影響を及ぼすデジタル広告コンテンツや子どもの個人情報侵害への対策と規制に関する検討(こ家庁、総務省、経産省、関係省庁)」の下線部を追記
イ 取組の方向性及び具体的施策の例
【意見の内容】
2.子ども・若者に対する深刻な性暴力・人権侵害が問題となっているエンターテインメント業界をはじめ、子ども・若者がビジネスに組み込まれたり、子ども・若者との接点が生じるあらゆる業種や民間施設による危険防止・人権保護の仕組みである「子どものセーフガーディング」の導入に向けて、早急な検討・対応が求められます。子ども性暴力防止法が施行されますが、性暴力に限らず、民間教育保育等事業者等による体罰や暴言が課題となっている中、企業が子どものセーフガーディングの仕組みを導入し、被害の予防に向けた取り組みを知り、実行することが必要です。
【変更案】(追記):
・企業による子ども・若者の危険防止・人権保護の仕組み(子どものセーフガーディング)導入の推進と義務化の検討(こ家庁、総務省、経産省、法務省など)
【意見の内容】
3.特に障害のある子どもの暴力や性被害経験は、障害のない子どもと比較して3~4倍であるといった国際的な研究もあるとおり、障害児の性被害や暴力防止は喫緊の課題となります。日本では、営利法人が障害児通所支援サービスの過半数を担っており(2022年には児童発達支援や放課後等デイサービスにおける営利法人の参入は6割以上)、児童福祉分野におけるビジネスの影響は非常に大きなものとなっています。国や自治体が営利事業者を含む福祉事業所などを対象に積極的に障害児への虐待や不適切行為についての実態調査と定期モニタリングを行い、予防と早期発見の取り組みを推進することが求められます。
【変更案】(追記):
・障害児への暴力等の実態把握と予防・早期発見策を含む対策強化の推進(厚労省、こ家庁、総務省、経産省など)
【意見を提出するパート】
第2章 優先分野
7救済へのアクセス
(1)課題認識及びこれまでの取組
【意見の内容】
国内人権機関の設置について、これまで日本政府は国連人権条約諸機関より何度も勧告を受けながら、パリ原則に準拠した独立した国内人権機関は未だに設置していません。国連ビジネスと人権作業部会訪日調査報告書においても、実効的な救済へのアクセスを促進するためにパリ原則に沿った独立した国内人権機関を遅滞なく設立することが勧告されています。「人権救済制度のあり方についての検討を継続」という表現を、これまでの経緯も踏まえ、より明確化して検討に臨むことが求められます。
【変更案】
3パラ目の「…人権救済制度のあり方についての検討を継続することが考えられる。」を以下のように修正頂きたい:
「…パリ原則に準拠した国内人権機関の設置について検討を進める。」