日本:サプライチェーンにおける人権に関する企業取組の初の政府調査で5社に1社が人権に関するガイドラインやセーフガードを設けていないことが判明したことを受け、政府がデューディリジェンスガイドラインを策定
2021年9月から10月にかけて、経産省と外務省が共同で、サプライチェーンにおけるビジネスと人権に関する企業の取組状況について、政府として初めて調査を実施した。日本政府は、2020年10月に策定した「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」において、日本企業が規模や業種を問わず、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)を導入することを期待すると表明している。本調査は、NAPのフォローアップの一環として実施された。
調査対象は、東京証券取引所第一部・第二部上場企業2,786社である。そのうちの760社から回答があり、5社に1社が人権に関するガイドラインやセーフガードを設けていないなど、日本政府や企業が取り組むべき重要な課題が明らかになった。
この結果を受けて、経産省は、 2022年2月、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)に関する業種横断的なガイドラインを策定することを発表。同時に設置された「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」により、責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン案の作成とそれに関わる議論が行われてきた。9月ごろの策定に先がけて、同年8月にガイドライン(案)が公開、これに対するパブリックコメントの募集が行われた。
ビジネスと人権リソースセンターも、ワールドベンチマークアライアンスと共同で意見を提出した。
2022年9月13日、政府は131の団体、企業、個人から700件以上のパブリックコメントを受け、ガイドラインを公表した。
2022年12月、政府は、サプライチェーンにおいて人権を尊重する事業者に対して、公共調達における優遇措置を導入することを発表した。
2023年4月4日、政府は、公共調達における入札説明書や契約書において、事業者に人権を尊重することを義務付けることを決定した。合意した原則は、6月に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針」に明記される見通しだ。
経済産業省は同日、先のガイドラインを補完する実務参考資料を公表した。
このページでは、政府主導の取組活動に関連する最新情報をまとめている。