EU:理事会と欧州議会が「デジタル・オムニバス」の一環としてAI法の大幅緩和に暫定合意
[EU countries, lawmakers clinch provisional deal on watered-down AI rules]
[非公式英文和訳:ビジネスと人権センター]
EU加盟国と欧州議会は2026年5月7日、人工知能(AI)に関する画期的な規制を大幅に緩和することで合意した。規制適用の延期などを含む今回の決定に対し、批判派からは「欧州が巨大IT企業の圧力に屈した結果だ」との反発の声が上がっている。
9時間に及ぶ交渉の末に成立したこの暫定合意は、今後数カ月以内にEU各国政府および欧州議会による正式な承認を得る必要がある。[...]
2024年8月に発効し、主要条項が段階的に導入されてきた「AI法」に対する今回の見直しは、欧州委員会が推進するデジタル関連規則の簡素化策の一環である。
こうした簡素化への動きは、規制の重複や煩雑な行政手続きが、米国やアジアの競合他社に対する競争力を削いでいるという企業側からの不満を受けて進められた。
【実施の延期】
EU加盟国と欧州議会は、生体認証や重要インフラ、法執行機関などに関連する高リスクAIシステムの規制について、適用開始時期を当初予定されていた今年8月2日から2027年12月2日へ延期することで合意した。
あわせて、ドイツのシーメンスやオランダのASMLなど業界側の要請を受け、すでに業界別規制の対象となっている機械類をAI法の適用対象から除外することでも一致した。
さらに、本人の同意なく性的に露骨な画像を生成するAI利用を禁止することでも合意した。これは、イーロン・マスク氏のxAIのチャットボット「Grok」がX上で生成した性的コンテンツや、Grokによる性的ディープフェイクへの対応を念頭に置いた措置である。この禁止規定は12月2日から適用される。[...]
AI生成コンテンツへの電子透かし(ウォーターマーク)の表示義務も同じく12月2日から適用される。
今回の決定に対し、欧州消費者機構がAI法が骨抜きにされたことに遺憾の意を表明する一方で、テクノロジー業界のロビー団体CCIAは、加盟国政府と議会はさらに踏み込んだ規制緩和を行うべきだったと主張している。
相次いで導入が進む一連のAI関連規則は、そもそも同技術が子どもや労働者、企業、サイバーセキュリティに与える影響への懸念を背景に策定されたものであり、今回の見直しによって一部が緩和された後も、依然として世界で最も厳格な水準のAI規制であるとみなされている。