インドネシア:ナイキ、国内で最低賃金が最安の地域へ生産移転しコスト削減との指摘
"Nike Is Moving Jobs to Low-Wage Regions of Indonesia," 2026年3月3日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権センター]
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過去10年間、インドネシアにおける[ナイキ]のサプライヤー工場の雇用は、最低賃金が生活に必要な水準を下回ると推計される地域で大きく増加している。一方で、ジャカルタなどの最低賃金が推計される生活賃金に近い、またはそれを上回る地域では、全体として減少していることが分析で明らかになった。
従来、多国籍企業は低い労働コストを求めて生産拠点を国外へ移してきた。しかし近年は、一つの国の中で賃金の低い地域へ生産を移すことでコスト削減と利益拡大を図る動きがみられる。
ナイキのサプライヤーはインドネシアで約28万人を雇用している。[...]
2015年から2025年までの間に、高賃金地域のサプライヤー工場は約3万6,000人の雇用を削減した。こうした地域には首都ジャカルタなどが含まれ、最低賃金は通常、月およそ300ドル程度となっている。
一方で、中央ジャワ州や西ジャワ州の一部地域では、ナイキのサプライヤー工場の労働者数が約11万2,000人増加していた。これらの地域の最低賃金は月およそ165ドル程度で、生活に必要な水準とは大きくかけ離れている。インドネシアのナイキサプライヤー工場で働く複数の労働者は取材に対し、実際の賃金は最低賃金とほぼ同程度だと語っている。[...]
2025年10月には、ジャカルタ近郊にあるナイキの長年のサプライヤーの一つ、台湾系ビクトリー・チンルー社が2,000人以上の労働者を解雇した。また、2024年には近隣のナイキ向け靴工場アディス・ディメンション社でも約1,500人が解雇されたと、地元メディアが報じている。
労働団体は、このような地域的な生産移転に懸念を示している。ジャカルタ周辺は労働組合の影響力が比較的強く、労働条件や賃金に対する監視が確立されているが、中央ジャワのような開発が遅れた地域ではそのような監視が弱いと指摘されている。
ビクトリー・チンルー社の従業員3人は取材に対し、今後さらに雇用削減が進むのではないかとの不安が職場に広がっていると語った。同社は西ジャワ州チレボンに新工場を建設しており、同地域の最低賃金は現在の工場より45%低いという。
従業員によると、昨年の解雇時には、雇用継続か退職金付きの退職かの選択を迫られたが、工場が完全に閉鎖された場合に何も受け取れなくなる可能性を恐れ、多くの労働者が退職金を選んだという。[...]
ビクトリー・チンルー社の労働組合リーダーの2人は、[...]新たに建設されているチレボンの工場が2027年までに稼働する可能性があると説明している。同社はこれを「事業拡張」と説明しているが、現在の工場では最近数千人規模で雇用が失われたばかりである。
ビクトリー・チンルー社は取材に回答していない。ナイキは声明で、サプライヤーの人員削減に際しては影響を最小限に抑えるため密接に連携していると説明した。また、サプライヤーに対し、法令に基づく退職金や社会保障などすべての離職手当を支払うよう義務付けており、適切な実施を支援するため、市民団体、労働組合、地方政府などを含むワーキンググループを設けることもあるとしている。[...]
さらにナイキは、海外サプライヤーで働く労働者の待遇は適切であると主張しており、戦略的サプライヤーの労働者の平均賃金は、地域の最低賃金のほぼ2倍に達していると説明している。
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