インドネシア:市民社会組織、移行鉱物の採掘・精錬が人権侵害や環境被害に寄与しないことを確保するよう電気自動車メーカーに要求
[Minerals: Electric Vehicle Companies Failing on Rights and Environmental Practices] 2025年8月20日
[非公式英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
カリフォルニアの非営利団体であるクライメート・ライツ・インターナショナルは、2024年1月に発表した報告書「ニッケル採掘:インドネシアのニッケル産業における人権と気候への代償(Nickel Unearthed: The Human and Climate Costs of Indonesia’s Nickel Industry)」において、インドネシア・北マルク州におけるニッケル採掘および精錬事業の周辺地域で暮らす住民が、大気・水質汚染、土地収奪、森林破壊、そして生活水準の悪化といった深刻な影響を受けていることを記録している。インドネシアは世界最大のニッケル生産国であり、北マルク州のような地域で採掘されるニッケルの多くは電気自動車用電池の製造に使用されている。しかしながら、こうした事業は地域住民にとって必ずしも有益ではない。北マルク州サゲア村に暮らす29歳の活動家アドゥルン・フィクリ氏は、クライメート・ライツ・インターナショナルに次のように語っている。
「上流域で行われている採掘は破壊的であり、森林を劣化させ、破壊し、人権侵害を引き起こしている。ここで暮らす住民が、世界の [ネットゼロ] の野心の代償を背負っている。欧米の人々は電気自動車を享受しているが、私たちはその負の影響を受けているのだ。」
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2024年4月から5月にかけて、クライメート・ライツ・インターナショナルはさらに16社の電気自動車メーカーに書簡を送付した。そのうち回答したのはゼネラルモーターズ、メルセデス・ベンツ、BMWグループ、ルノーの4社にとどまった。各社からの回答は以下の通り。残る12社のBYD、広汽集団、吉利汽車、ホンダ、ヒュンダイ、キア、ニオ、日産、上海汽車集団、ステランティス、スバル、ボルボは回答せず、自らのサプライチェーンが深刻な気候・人権・環境の侵害に加担していないことを確認するための基本的な情報提供すら拒んでいる状況である。
クライメート・ライツ・インターナショナルは、各社に対し、自社の電気自動車に用いられる移行鉱物の採掘および精錬が人権侵害・環境破壊に寄与しないよう、どのような措置を取っているのかを問うた。直近の回答において、回答した4社はいずれもサプライヤーの行動を規律する方針を有していると報告した。
- ルノーは、現在はコバルトおよび紛争・高リスク地域産鉱物に適用している人権の監視計画に基づき、国連ビジネスと人権に関する指導原則、ILOの基本条約、OECD多国籍企業行動指針、ILO中核的労働基準、世界人権宣言等との整合を図るため、「合理的なデューディリジェンスおよび救済手続きの適切な実施を継続的に確保している」と述べた。
- メルセデス・ベンツは、国連ビジネスと人権に関する指導原則のロジックと方法論に基づき、24種の原材料に対してリスク志向型の原材料アセスメントを実施し、「原材料サプライチェーンにおけるリスクを積極的に特定し緩和する」ことを目標としていると述べた。[...]
- BMWグループは、「サプライチェーンにおけるデューディリジェンスの一環として、BMWグループはリスクの洗い出し、メディア分析、サプライチェーンマッピング等を通じて、要件遵守の状況を継続的にモニタリングしている」と述べた。
- ゼネラルモーターズは、「サプライヤー行動規範に不適合があった場合、研修や直接の関与を通じてサプライヤーが人権を責任を持って管理できるよう支援している」と述べた。
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電気自動車メーカーがサプライヤーの行動規範や関連方針の遵守を確保するためには、以下の措置が求められる。
- 直接取引先に対し、全サプライヤーリストを開示させるとともに、当該取引先が電気自動車メーカーの人権・環境デューディリジェンス方針を自らのサプライヤーに実施していることを裏付ける文書を提出させること。
- ニッケルやその他の重要鉱物が採掘・精錬される鉱山や施設において、定期的で透明性が高く真に独立した監査を実施し、人権および環境が尊重されているかを確認すること。
- 鉱物採掘、精錬、製錬、電池製造に関与する全てのサプライチェーン企業について開示することにより電気自動車サプライチェーンの透明性を高めること。
- 移行鉱物サプライチェーンの脱炭素化に関して明確かつ期限を定めた目標を設定し、サプライヤーがその達成に向け具体的な行動を取っていることを確保すること。
- サプライヤーに対し、地域社会や環境への被害の是正を促す影響力を行使し、必要な場合には、そのような侵害を行う企業からの調達を停止すること。
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