ジャスティス・フォー・ミャンマー、キリンの撤退は合弁事業の経営権を軍需財閥に委ねた「無責任」行為であると指摘
[Kirin Holdings’ irresponsible exit will continue its complicity in Myanmar military’s atrocity crimes] 2022年6月30日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
キリンホールディングスは、合弁事業であるミャンマー・ブルワリーとマンダレー・ブルワリーの株式譲渡を発表した。これによりキリンはミャンマーから撤退し、ミャンマー・ブルワリーとマンダレー・ブルワリーは、ビジネスパートナーであるミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(以下、MEHL)の傘下に入る予定である。
この一連の取引により、キリン撤退後も事業の継続的な運営が保証され、ミャンマー軍はMEHLを通じて継続的な収入を得ることになる。
2020年11月、キリンはMEHLへの配当金の支払いを停止したが、今回のミャンマー撤退に際して、未払い分の配当金と同社の銀行残高を今後どのように扱うかは明らかにしていない。
ミャンマー、日本、そして世界中の市民社会はキリンに対して、責任を持ってMEHLとの取引を終結するよう要求している。
ジャスティス・フォー・ミャンマーのスポークスパーソンYadanar Maung氏は次のように述べている。
キリンはこの無責任な撤退を、労働者の利益のためと言い訳しているように見受けられる。
責任ある行動とは、テロリストであるミャンマー軍への資金提供を断絶し、補償を通じて労働者への悪影響を是正することである。
しかしキリンは、日常的に逮捕、殺人、拷問、家や村の焼き討ち、無差別空爆や砲撃など国軍による被害を受けているミャンマーの人々の生活や人権に対する責任よりも、自社の利益を優先させることを選択したのである。
今回のキリンの無責任な撤退は、ミャンマーが危機に瀕しているタイミング実施された。ミャンマー軍はキリンとMEHLの取引に便乗して、国民に対する恐怖政治を実施している。
キリンはこの嘆かわしい決断を覆すか、軍による国際犯罪に加担した責任を問われなければならない。
我々はキリンに対して、人権デューデリジェンスの実施と、MEHLへの配当金の開示を要求する。
キリンの株式譲渡には、シンガポールの子会社であるキリンホールディングス・シンガポールも関与している。シンガポールは、キリンの米国公認のビジネスパートナーであるMEHL含めて、ミャンマー軍の利益になる金融システムの取引を阻止すべきである。