フランス:スパイウェア「ペガサス」によるプライバシー権の侵害をめぐり、NSOグループを相手取ってNGOと人権擁護者が共同で刑事告訴
[France: criminal complaint against the Israeli company NSO for illegally infiltrating the phone of French-Palestinian human rights defender Salah Hammouri] 2022年4月5日
[ 英文和訳:ビジネスと人権リソースセンター]
国際人権連盟( International Federation for Human Rights、FIDH)、人権連盟( Ligue des droits de l’homme、LDH)、仏系パレスチナ人の人権活動家サラ・アムーリ氏は、イスラエルのテクノロジー企業NSOグループに対し、アムーリ氏の電話に違法に侵入したとしてフランスで提訴した。違法行為が始まったのはパレスチナ自治区だったが、フランスの地でも続いたことから、フランスの法律のもと、プライバシー権の侵害にあたる。
[...]サラ・アムーリ氏は、他のパレスチニア人人権活動家の電話への侵入が発覚したことを受け、自身の電話も調べるために人権活動家保護団体「フロントライン・ディフェンダーズ」に連絡した。
調査の結果、アムーリ氏と他のパレスチナ人人権活動家の複数の電話が、NSOグループが開発したスパイウェア「ペガサス」によるハッキングを受けていたことが分かった。
調査では、アムーリ氏の電話への侵入は2021年4月に行われていたことが発覚。2021年12月アムーリ氏は、NSOグループが同スパイウェアの利用による電話への違法なハッキングを通じて、仕事もプライベートも含む彼の生活すべてに侵入し、プライバシー権やその他の権利を奪ったとして、自らが代表となりNSOグループを提訴するべくFIDHに申し入れた。
アムーリ氏は、15歳の頃からイスラエルの迫害を受けてきた。[...]
FIDHとLDHは、このような暴力的かつ見境のないやり方を強く非難している。[...]
NSOグループは、人権に関する法律や原則に違反して不法にテクノロジーを利用していることで、世界各地で複数の訴訟を抱えている。FIDHをはじめとする一部のNGOは、欧州連合に対して、NSOグループを制裁リストに追加し、人権尊重の十分な措置が取られるまではNSOグループのテクノロジーの販売、移譲、輸出入、利用を禁止するために、あらゆる適切な対応を取るよう求めた。[...]