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記事

2026年6月25日

著者:
Citizen Lab,
著者:
GNT

ロシア:押収された人権活動家の端末でセレブライト社製デジタル鑑識ツールの使用を確認し、人権侵害防止措置の不備が改めて浮き彫りに;企業コメントを含む

申立

[Russia Breaks Into Human Rights Activist’s Phone With Cellebrite] 2026年6月25日

[非公式英文和訳:ビジネスと人権センター]

ロシアの人権活動家アンドレイ・ピボヴァロフ氏の携帯電話を解析した結果、ロシア当局がイスラエルのデジタル鑑識企業セレブライト(Cellebrite)のツールを使用して同氏の端末からデータを抽出していたことが判明した。セレブライトは、スマートフォンなどの端末からデータを強制的に抽出・解析できるデジタル鑑識ツールを製造・販売するイスラエル企業である。世界各国の法執行機関に製品を提供しているが、人権尊重責任を果たしていないとの人権団体から繰り返し批判されている。

ロシア当局が作成した文書からも、同氏の訴追に向けた情報収集にセレブライト製品が使用されたことが確認された。さらに今回の調査では、セレブライトがロシアとの契約を打ち切った後も、同社の技術が政治的弾圧に利用され続けていた可能性が示されている。

解析の結果、ピボヴァロフ氏のiPhone 12には、ロシア当局に端末が押収されていた期間中(2021年6月17日頃)にセレブライトのツールが使用された痕跡が、高い確度で確認された。

調査報告書はさらに、同氏の交友関係(ソーシャルグラフ)の解析にセレブライト製品が利用されたことと、その後、ロシア政府との関与が指摘されるハッカー集団「COLDRIVER」が同氏の交友関係者を標的としたことには関連性が認められるとして、さらなる調査が必要だと指摘する。ピボヴァロフ氏の端末から取得された情報が、国外にいる反体制派への監視や標的化に利用された可能性とも整合するとしている。

2020年9月、弁護士エイタイ・マック氏は、セレブライトがロシアの連邦捜査委員会に同社技術を販売し、それが政治的弾圧に利用されたとして、テルアビブ地方裁判所に提訴した。これを受けセレブライトは2021年3月、ロシアおよびベラルーシの顧客との契約を打ち切り、ソフトウェアの更新提供も停止すると公表した。しかし契約終了から1年以上が経過した後も、契約終了前に販売された機器が政治犯の携帯電話の解析に使われ続けていたことが報じられており、今回の調査はこうした懸念を裏付けるものとなった。

セレブライトはこれまで、人権侵害への懸念を受けてセルビア、ロシア、ベラルーシ、バングラデシュ、香港、中国との契約を打ち切ってきた。しかし、カナダの研究機関Citizen Labによるデジタル鑑識調査で同社技術と人権侵害との関連が確認されたケニアとヨルダンについては、契約を終了した形跡がない。また香港では、契約終了後も販売代理店を通じて当局が同社製品や更新プログラムを入手していたとの報道もある。

報告書は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」のもとで、セレブライトには自社技術が人権侵害に利用されたり、それを助長したりすることを防ぐための実効的な人権コンプライアンス体制を構築する責任があると指摘する。そのうえで、今回の調査結果は同社がUNGPsの基準を十分に満たしていないことを改めて示しているとしている。

報告書をまとめたCitizen Labとデジタル権利を専門とする国際的な非営利団体Access Nowは、2026年6月22日、調査結果についてセレブライトにコメントを求め、回答全文を公表すると伝えた。これに対しセレブライトは以下のように回答した。

「2021年3月以降、ロシアで旧型のセレブライト製機器が使用されていたとしても、それは一切認可していない。2021年3月以前に販売された機器は現在の端末には対応できず、当社の技術サポート、承認、法的許可も受けていない。ロシアは現在も恒久的に取引禁止顧客リストに掲載されている」

回答全文はCitizen Labのウェブサイトで公開されている。