湾岸諸国:移住労働者ら、紛争下で発電所や空港などにおける危険な労働環境を訴える;日本企業の回答・無回答を含む
MRRORSは、クウェート、カタール、サウジアラビア、UAEで、ガス施設、石油精製所、水処理施設、空港、学校、商業施設などで働く15人の移住労働者に話を聞いた。証言から見えてきたのは、戦時下で移住労働者がいかに脆弱な立場に置かれているかという現実だ。雇用主や受け入れ国政府から、十分な保護をほとんど、あるいはまったく受けられていないケースもある。プラモド・アチャリャ氏、MRRORS 、『他人の戦争の標的にされるなかで(In the crosshairs of someone else's war)』
人権団体MRRORSは2026年4月、米国とイスラエルによるイラン攻撃への報復としてイランによる反撃が続くなか、中東紛争が湾岸協力会議(GCC)諸国の移住労働者に不均衡かつ深刻な影響を及ぼしていると指摘する2本の記事を発表した。
1本目の記事では、カタールのラス・ラファン・ガス事業で働く移住労働者の事例を紹介している。ビジネスと人権センターが理解するところでは、この事業はカタールエナジーが運営している。労働者は下請け企業Teyseer Servicesに雇用されており、ガス施設がイランの攻撃を受けた後も、避難の可能性について会社側から限定的かつ矛盾した説明しか受けなかったと訴えている。
5週間に及ぶ戦闘の間、イランは湾岸地域の企業施設、エネルギー施設、水処理施設、空港、軍事基地など、幅広い対象を攻撃してきた。紛争は地域の日常生活を大きく混乱させ、世界経済にも影響を及ぼしている。しかし、その重い代償を払っているのは、湾岸諸国の人口のおよそ半数を占める移住労働者だ。プラモド・アチャリャ氏、MRRORS 、『他人の戦争の標的にされるなかで(In the crosshairs of someone else's war)』
2本目の記事では、複数の事業における移住労働者の危険な労働実態が報告されている。
- UAEのハブシャン・ガスプラントおよびルワイス石油精製所(ビジネスと人権センターが理解するところでは、いずれもADNOCが運営)で働く移住労働者についても、以下のような証言が寄せられている。ハブシャン・ガスプラントでExplorer for Employment Servicesを通じて働くネパール人労働者は、雇用主から潜在的な安全リスクについて十分な説明を受けておらず、パスポートを没収されているため帰国もできないと訴えている。ルワイス石油精製所の別の労働者は、危険な環境下での就労を強いられたうえ、休暇申請も拒否されたとされる。
- カタールのハマド国際空港(ビジネスと人権センターが理解するところでは、カタール航空グループが運営)およびUAEのザイード国際空港(同、アブダビ・エアポーツが運営)でも、移住労働者に対する労働権侵害が報告された。ザイード国際空港でドローン攻撃により死亡したネパール人警備員の遺族には、事故の詳細が十分に説明されておらず、未払い賃金なども支払われていないという。
- さらに、クウェート石油会社の事業で働く建設労働者や、カタールのFacility E発電造水事業で働く移住労働者についても、劣悪な労働環境が報告されている。ビジネスと人権センターが理解するところでは、この事業は住友商事、四国電力、大韓民国海外インフラ・都市開発支援公社(KIND)、韓国南部発電(KOSPO)などによるコンソーシアムが所有している。
MRRORSはTeyseer ServicesおよびExplorer for Employment Servicesに対し、コメントを求めた。
ビジネスと人権センターは2026年5月、ADNOC、カタール航空グループ、アブダビ・エアポーツ、クウェート石油会社、住友商事、四国電力、KIND、KOSPOに対し、各事業における移住労働者の危険な労働環境に関する報道に対するコメントを求めるとともに、紛争下で移住労働者に及ぶ危害を防止・軽減するために実施した「強化された人権デュー・ディリジェンス」について説明を求めた。
ビジネスと人権センターはさらに、Facility E事業のコンソーシアム(複数企業による共同事業体)各社に対し、人権侵害リスクの防止・軽減措置が各パートナー間でどのように管理されているかについても説明を求めた。具体的には、人権上の責任がコンソーシアム契約や運営・ガバナンス手続きの中でどのように明文化されているかが問われた。
ADNOC、住友商事、四国電力の回答は下記の通り。その他の企業からの回答はなかった。