2021年2月1日、ミャンマー国軍が不法に政権を掌握して以来、衣料品製造業の労働者（ほとんどが女性）は、同国の市民的不服従運動の最前線で独裁政権の終焉とミャンマーの民主化回復を求め、命と生活を危険にさらしてきました。 軍は権力を維持するため、反対意見や異論に武力で対抗してきました。

ビジネスと人権リソースセンターは、ミャンマー国内外のパートナーや提携先との協力体制のもと、国内で衣料品製造業の労働者に対する労働・人権侵害が軍事政権発足以降大幅に増加していることを把握しています。この協力体制により、衣料品製造業労働者の人権・労働権侵害疑惑に関するトラッカー（追跡調査）の作成が実現しました。このトラッカーは、2023年2月末までに少なくとも108,000人の縫製労働者に対して行われた人権・労働権侵害の疑いのある212件の事例を記録し、国際ブランドのサプライチェーンにおける広範囲かつ組織的な人権・労働権侵害を明らかにしました。これまでに記録された疑惑の被害を受けたとされる労働者は、Inditex、Primark、H&Mグループ、Bestsellerを筆頭に少なくとも46のグローバルファッションブランドおよび小売業者向けに生産する124の工場で雇用されています。

こうしたデータによって、人権・労働権侵害の規模と範囲、ならびに加害者が広範囲にわたり処罰を免除されている事実が浮き彫りになりました。アパレルブランドとその投資家に対して、責任ある調達、人権デューディリジェンス、サプライチェーンにおける労働者保護の観点から深刻な問題を提起しています。賃金搾取、不当解雇、非人道的な労働条件や強制残業は、最も頻繁に記録されている人権・労働権侵害の種類です。また、軍による労働者の殺害、逮捕、恣意的な拘束、ジェンダーに基づく暴力、結社の自由への攻撃、ハラスメント、児童労働などの事例も報告されています。軍事政権下では市民の自由や報道が厳しく制限され、人権・労働権侵害に対して声を上げた労働者が報復される危険性を考慮すると、こうした事例は氷山の一角だと考えられます。

以下の表を使用して、追跡調査のデータを検索できます。調達ブランド、工場、問題、影響を受けた労働者で絞り込むことも可能です。申立に対する企業の回答が提供されている場合は、「回答」リンクから閲覧できます。

注：この追跡調査は、縫製労働者に対する人権・労働権侵害の疑いについて公に報告された情報を収集したものです。ビジネスと人権リソースセンターは、それら申立の正確さを独自に検証していません。